最低限度の生活

2013年11月28日 11:59

地下道.jpg

毎朝7時、通学の見送りで札幌駅まで子供と歩いている。

暖かな時期は外を歩いて改札口まで行きますが

冬期間は地下道を通ります。

そこにはいつも人目も憚らずオブジェに形作られたベンチで

三人のホームレスが熟睡している。

 

『どうしてこの人たちは生活保護を受けないの?』

子供が突然、こんな質問をしてきた。

 

ここを通る度に疑問に思っていたらしい。

即答できず、正確に答えてあげたかったので調べてみることにした。

 

住所不定だから、つまり住民票がないから申請できない。

というのが一般論になっているようです。

実は、法的にその意見は間違っているようです。

 

生活保護法第19条第1項によると・・・

「居住地がないか、又は明らかでない要保護者であって、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの」

つまりホームレスでも生活保護申請はできるというのが結論になる。

 

ではなぜ彼らは路上で寝泊まりしているのか?

 

理由は多岐にわたる。

調べることのできた範囲で列挙してみると・・・

 

①    生活保護の目的が「生活困窮者に自立を促す」だから。

 仕事を見つけて自立しようと思っていないホームレスが多い。

 個々の状況にもよるが一生涯にわたり制度が面倒をみることはしない。

 

②    制度自体をよく知らない。

 どこに行って、何をして、どんなものを用意すればいいのか全くわからない。

 それをするほどのモチベーションもスキルも体力もない。

 

③    そもそも生活保護を受けたいと思っていない。

 当たり前の話だが、本人にその意志がなければ申請などされるわけもない。

 生活保護者にはそれなりの制約がある。

 誰の目も気にせず自由気ままの生活を望んでホームレスになった人も多い。

 

④    申請窓口の判断により申請却下される。

 これも至極当然の話だがホームレスだろうが住所確定者だろうが関係なく

 申請受理の条件に合致しなければ生活保護を受けることはできない。

 これはあくまで批判的な一部の方々の意見だが・・・

 申請窓口がホームレスに冷淡で

 あれこれ理由をつけて門前払いすることもあるらしい。

 

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

(日本国憲法第二十五条)

最低限度の生活・・・これは人それぞれの感じ方かもしれない。

ホームレスも自分は最低限度の生活は営めていると思っているかもしれない。

さらに権利の行使は責任と自発的な行動が求められる。

ホームレスに対する見方、感じ方は様々あると思います。

しかし少なからず生活保護を不正受給している輩より

彼らは真っ当な人生を歩んでいると思う。

                           吉村 昌晃